ピンク・フロイド大回顧展、最新現地レポート、ロジャー・ウォーターズ、ニック・メイソンが揃って記者会見

2017.02.18

 

2013年に行われたデヴィッド・ボウイ展の興奮がいまだ尾を引くイギリスで、同じ会場V&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)にて5月から始まるピンク・フロイド大回顧展への期待が新たに高まっている。タイトルは「The Pink Floyd Exhibition: Their Mortal Remains」。本人が公式に関わることのなかったボウイ展と違い、ピンク・フロイド展の方は、バンドのメンバー3人(デヴィッド・ギルモア、ロジャー・ウォーターズ、ニック・メイソン)と故リック・ライトの代理人、それにアートワークや舞台芸術に長年関わってきたスタッフが総出で企画に参加し、バンドとミュージアムの完全共同制作展といった様相を呈している。

 

ステージセットの再現やライトショー、サラウンド・サウンドなどのスペクタキュラーな仕掛けから小さな印刷物まで、フロイドの宇宙を構成するあらゆるものを含んだ大掛かりな展覧会だけあって、プロモーションも実に念入り。昨年8月にニック・メイソンを迎えて行われたメディアへの発表会に続き、2月16日、今度はニックに加え、ロジャー・ウォーターズも参加する記者会見が開かれ、展示についてのさらに詳しい情報がもたらされた。

 

 

場所は、ロンドン中心部のメイフェア・ホテル。V&Aのキュレーター、ヴィクトリア・ブローケス女史のあいさつのあと、オーブリー・“ポー”・パウエルとレイ・ウィンクラーが会場の設計や展示の詳細を説明。展覧会のクリエイティブ・ディレクターを務めるパウエル氏は、ピンク・フロイドのほとんどのアルバム・ジャケットをデザインし、彼らのビジュアル・イメージを決定づけたデザイン集団ヒプノシスのメンバーの一人。ウィンクラー氏は、彼らの大規模なステージ制作を続けてきた会社スチューフィッシュの代表だ。その後、ボウイ展に続いて今回も会場のダイナミックな音響を手掛ける音響機器メーカー、ゼンハイザー社の代表による話があり、いよいよバンドのメンバー2人が登場。ニックとロジャーが揃って公の席に現われるのはきわめて珍しいだけに、会場の記者団から大きな拍手が起こった。

 

まず、今回の展覧会の話が来た時の印象を聞かれ、ニックが「単に過去を懐かしむのではなく、展示品のストーリーを語ろうとする姿勢に好感を持った」と答えた。そして「ボウイ展を見にいって圧倒されたあとだっただけに、僕らにはあんなコスチュームがないけど大丈夫かな、と悩んだけど、これはいらない心配だったようだ」と続けて会場を笑わせた。

 

展覧会への各自の貢献度を聞かれ、2人は次のように話した。

ニック「展覧会のために資料をいろいろ整理したよ。写真や印刷物のような紙物はけっこう保存してあるんだが、楽器など大きいものがうちにはあまりとってなかった」

ロジャー「僕はイギリス、ハンプシャーに保管庫を持っていて、そこにバンド関連品をため込んでいる。でも、自分でちゃんと見たことがないんだ。一つのプロジェクトが終わるたびに、使ったものをそこへしまい込んできたから、相当量たまっているはず。そこへミュージアムのスタッフが入ってリサーチをしているんだけど、今朝もシド(・バレット)がガールフレンドに宛てて書いた手紙が見つかったと連絡があったばかりだ。ベッドフォード・ヴァン(バンドが初期に使っていたツアー・ヴァン)の絵が書いてある手紙なんだ」

 

『アニマルズ』のアルバム・ジャケットとツアーに使われた「ブタ」の実物があるのかを聞かれると――

ニック「ブタは保管庫にはない。なぜならもう存在しないから」

ロジャー「1900何年だったかな、ピッツバーグでのスタジアム・ライブの時に、ファンによって破壊された」

 

さて、展覧会への2人の期待感は?

ニック「未見の映画/映像などもあり、とても楽しみにしている」

ロジャー「僕は今アメリカに住んでいるので、物品の提供以外大したことをしていないが、概要を聞いて、これはスゴイことになるぞと予感している。実際に見られるのを心待ちにしているんだ。自分でも見たことのないもの、忘れているものがたくさんあるはずなので、それを会場で見てみるのが楽しみで仕方ない」

 

プレス・リリースなどで、「イマース(身をひたす)」という言葉が多く使われるピンク・フロイド大回顧展。サウンド&ヴィジョンで、まさにフロイド世界に身をひたすような臨場感たっぷりの体験になるに違いない。

 

というところで速報原稿をまとめたかったのだが・・・司会者がメンバーに展覧会についての質問をするパートが終わり、記者会見に切り替わると、メンバーが「2人も」揃ったこのチャンスを逃してはならず、と記者団からバンドに関する質問がバシバシ飛び、話が別の方向へ展開したのだ。

その中で、ロジャーが現在ニュー・アルバムを録音中であること、そのタイトルが『Is This the Life We Really Want?』であることを明かし、さらには2人揃って「ピンク・フロイドとしてグラストンベリー・フェスティバルに出てみたいね」とすごいことを軽く言い放ち、場内を沸かせた。「可能性はものすごく低いけど」とニックがつけ加えたものの、この気を持たせるような発言が原因となって、当日の夕刊には「ピンク・フロイド、ついにグラストンベリーに出演か?」といった、展覧会と無関係のセンセーショナルな見出しが並んだ。彼らが「博物館入り」には程遠い、現役のスーパーバンドであることを証明する出来事だったと言える。

 

 

速報はここまで。記者会見の詳報はまた後日に。


(レポート:清水晶子)

 

●ピンク・フロイド大回顧展「The Pink Floyd Exhibition: Their Mortal Remains」




会場:英ロンドン「ヴィクトリア&アルバート博物館」

会期:2017年5月13日~10月1日

公式サイト:http://pinkfloydexhibition.com/

V&A 「The Pink Floyd Exhibition: Their Mortal Remains」:https://www.vam.ac.uk/exhibitions/pink-floyd

V&A チケット購入ページ(英語):https://shop.vam.ac.uk/whatson/index/view/id/3555/event/Pink-Floyd--Their-Mortal-Remains/dt/2017-05-13/free/2

 


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