ピンク・フロイド大回顧展、現地最新レポート。ニック・メイソン、V&Aに登場!
展覧会としては前例を見ない、世界的大ヒットになったロンドンはヴィクトリア&アルバート博物館の企画した『David Bowie is』。これを企画したチームが今度はピンク・フロイドの回顧展『The Pink Floyd Exhibition: Their Mortal Remains』を企画開催する。
一般に向けてのチケット発売日となった8月31日、会場であるヴィクトリア&アルバート・ミュージアムにおいて、限定マスコミ媒体を招待した発表式が行われた。160年前、エリザベス女王の祖母にあたるヴィクトリア女王時代の品々を展示するために設立されたこの博物館、その壮大で威厳ある外観は圧倒的。午前9時には、これを背景に博物館長、キュレイター、イベント会社、プロモーターの4人と、ピンク・フロイドのメンバー、ニック・メイソンが姿を現し、広報用の写真のためにポーズした。これに合わせ、博物館の屋根のあたりを、アルバム『アニマルズ』で有名な豚のバルーンが上がった。1977年前のポスターでバタシー火力発電所の屋根にあがった豚とはちょっと雰囲気が異なる豚で、風向きのせいでなかなか正面に顔を出してくれない状況が続き、開催者は冷や汗・・。
その後館内の後方にあるウイリアム・モリス・ルームで、簡単な発表会が行われ、この5人の主催者側が挨拶した。それによれば、企画の話しは5年前からあったそうだが、本腰で実施に踏み切ったのはボウイ展以後。ボウイ展に大成功をもたらしたビクトリア・ブローケスさんを率いるキュレイション・チームは、イベント・プロデュースを行うアイコニック・エンターテイメント・スタジオやヒプノシス、スチューフィッシュなどのチームとタグをくみ、ピンク・フロイド展を実施する。
ボウイ展が、ボウイのソロ・アーチストとしての個性と芸術性、パフォーマンスやソングライターとしての才に焦点をあてた視覚的な展示であったのに対し、ピンク・フロイド展は、彼らの実験性な姿勢や、ライト・ショウ、スライド・ショウ、そしてあまりにも有名なアルバム・サウンドを生で体験するような、音体験の要素に焦点があたるらしい。
「バンドが50周年を迎えるわけだが、こんなに長い間続いたことが驚きだ。実はピンク・フロイドとヴィクトリア&アルバート博物館との関係は50年以上さかのぼるんだ。ご存じのように、僕とピンク・フロイドのメンバーのロジャーとリックは、ロンドンの大学で建築学を学んでいたときに知り合った。1962年のことだが当時大学の課題で、当時ここで開催されていた鉄細工の展覧会についてレポートを書くというのがあったんだ。残念ながら3人ともその成績は芳しくなかったが。だから今回はもっと良い成績がとれたらと思う」とニック・メイソンは語った。そして「ボウイ展は、展覧会の限界に挑戦した画期的なものだった。僕らの展覧会も、これまで見たことのないようなものにしたいと思う」と締めくくった。
また現在ではすべてがデジタル化されてしまった音楽つくり。かつてアナログ・テープやエフェクトなどで彼らがいかに数々の名作アルバムを制作したのか、そういった音楽マニアなかせのピンク・フロイド・サウンドつくりの過程に切り込む展示も見てもらいたいと更にコメントしてくれた。
すでにチケットの予約は始まっているので、ホーム・ページから予約可能。
開催は2017年5月13日から10月1日まで。料金は月曜から金曜までが20ポンド。土日は24ポンドとなる。http://www.vam.ac.uk/exhibitions/pink-floyd
(レポート:高野裕子)